近年、シックハウス症候群などの問題が注目を集めたこともあり、人や環境に配慮した自然素材の塗料を選ぶ人が増えています。ですが、自然素材の塗料にはどんな種類があるのか、またどんなメリットがあるかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、自然素材の塗料とはどんなものなのか、種類やメリットなどについてもわかりやすくご紹介します。

この記事を読むための時間：3分

自然素材の塗料ってどんなもの？

自然素材の塗料＝自然塗料とは、その名の通り天然素材を用いて作られた塗料のことです。化学塗料は石油を原料にした合成顔料が含まれていますが、自然塗料にはそれがなく人や環境に優しいとされています。ただ、日本において自然塗料には明確な定義がないので、アレルギーなどがある方が選ぶ際には慎重に確認する必要があります。

自然塗料の種類

自然塗料は原料によって大きく3種類に分けられます。それぞれどのようなものなのか見ていきましょう。

オイル系塗料

オイル系の自然塗料は、亜麻仁油、エゴマ油、ひまわり油、桐油などの植物油が原料です。木の導管（水などの通り道）に染み込ませて使用するため、木材が本来持っている質感を活かすことができるのが特徴。油の種類によって乾き方や導管への定着率が変わります。

ワックス系塗料

ワックス系自然塗料は、蝋を原料にした塗料。ミツバチの巣を構成する蝋を精製した蜜蝋や、ブラジルの北東部に自生するブラジルロウヤシの葉から得られるカルナウバロウ（カルナバロウとも言う）が主成分です。オイル系とは異なり、木の表面をコーティングして保護することができます。ただし、こまめなメンテナンスが必要となるので、オイル系やワニス系塗料と併用されることも多いです。

ワニス系塗料

ワニス系の自然塗料もワックス系と同じように木材の表面を保護する効果がある塗料です。昆虫や樹脂から採取される成分で作られており、塗ると表面に透明の膜を作って紫外線などから木材を守ります。

自然素材の塗料を選ぶメリット

自然素材の塗料は化合物が含まれていないので、人や環境に優しいというのが最大のメリットです。また、強力な塗膜で覆ってしまう化学塗料とは違い、天然の調湿素材である木材が本来持っている機能を活かしながら木材を保護することが可能。さらに、木材の自然な木目や温かみのある質感が損なわれないので、時間の経過と共に趣のある風合いを楽しむことができます。

 

デメリットとしては、化学塗料に比べてコストがかかる点が挙げられます。天然素材から作られる塗料であるため大量生産が難しく塗料自体も割高な上、乾燥までに時間がかかるものが多いため工期が長くなり、その分工賃がかかってしまいます。

自然素材の塗料を選ぶ時の注意点

自然塗料は化学塗料のように強い成分を使っていないので、こまめなメンテナンスが必要。使用する塗料にもよりますが、まめに拭き掃除をしたり、塗装を繰り返すことで木の耐久性を高めることができます。

 

また、自然素材で作られているからといってアレルギーが起きないわけではないので、選ぶ際には注意が必要。中には乾燥する間にアレルギーの素となるホルムアルデヒドを発生させるものもあります。対策としては、実際に臭いを確認したり、サンプル材に試し塗りをしてもらうなどの方法をとるのがいいでしょう。

自分に合った塗料を選ぼう

自然塗料は、木材が持っている性質や質感を損なうことなく自然に保護することができます。また、人や環境にも優しく、木の温もりが感じられる自然な仕上がりが大きな魅力。自然素材の塗料にもさまざまな種類があるので、メンテナンスの周期や使用する場所、用途に合わせて最適なものを選びましょう。